医局を辞めたい!けどやっぱり不安。みんなはどうしてるのかな。
医局を辞めた後の話ってあんまり聞かないけど、フリーランスでも食べていける?
この記事では、医師転職をした消化器外科の「Dr.さいとー先生(@DrSaitohobbytoH)」に、転職前後のお話をインタビューしました。
現在は週3定期非常勤+スポットバイト1日でフリーランス医師をしていらっしゃるDr.さいとー先生。週末は子育てに専念しつつ、平日も休める日を作っていらっしゃいます。これから医師転職を考える人の参考になれば幸いです。
消化器外科・Dr.さいとー先生インタビュー
いつフリーランス医師になりましたか?
フリーランス医になったのは医師になってから9年目です。フリーランス医歴は1年です。
研修医2年→市中病院で後期研修3年→大学院3年→フリーランスという流れです。
外科に入局したのはなぜですか?
自分の手で病気を治すというわかりやすさが良かったかなと。外科の体育会系の雰囲気が、運動部と似ていたのも大きかったと思います。
医局員時代を振り返って、どうですか?
医局は、大学院に入っていた3年間のみの在籍でした。医局人事が発動する前にやめた形です。
忙しい後期研修が終わり、自分で勤務先を選べるバイト医のような生活は新鮮でした。研究とバイト医の生活は案外気楽で、たくさん本を読んだり、医学以外の勉強をする時間が増えました。その頃に簿記やFPの勉強を始めましたね。
多忙を極める勤務医から大学院生になって、改めて自分の価値観を見直せたのは大きかったと思います。
時間ができ、自分自身を振り返るキッカケになったんですね。
医局を辞めようと思ったきっかけは?
医局には尊敬できるすごい先生がいらっしゃいましたが、臨床、研究、後輩指導と日々大変そうでした。プライベートもなく「家族より医局」の先生方ばかりでした。
自分はそこまで医局に奉公できないかなと思ったことがきっかけですね。
また、医局自体も医局員の犠牲を前提に成り立っているとも感じました。
たしかに医局の、特に大学病院の先生方には頭が下がりますよね。。。
待遇面以外のきっかけはありますか?
医局の雑務をこなすことで、人間関係のごたごたや、医局人事の現状、医局員の給料など、医局の現実を知ることになりました。その結果「ここは自分がずっといる場所ではない」と直感的に思いました。
自分が長年医局にいたらどうなるのか、医局員としての未来に希望が持てなくなったのが正直なところです。
ずっといる場所じゃない。とてもよく分かります。
他にもなにかあれば教えてください。
あとは金融リテラシーがついたことですね。
私はもともと浪費家で全く資産形成をしていませんでしたが、本や簿記・FPの勉強などを通して知識がつきました。医局に在籍しなくても豊かに暮らせる自信がついたことも大きいですね。
オススメの書籍を教えてもらいました!
医局を辞めるまでの流れは?
- 1月:学年が近い医局員の先生に相談→応援される
- 2月初旬:研究室のグループ長の先生と面談→応援される
- 2月中旬:医局長と面談→少し反対される
- 2月下旬:教授と面談→退局が承認される
- 3月末:退局
という感じでした。
法人をすでに作っていたこともあり、辞める理由が「起業します」だったので、「よくわからないけど、応援するよ」という先生が多かった気がします。笑
退局の半年前くらいから辞意を伝える人が多いですが、年度末である3月は辞めやすいタイミングといえます。
転職活動について教えてください。
医局を辞める1年前から、転職エージェントに登録し、スポットバイトを探していました。
医局外のバイトは新鮮でしたし、求人数も案外と多いことも知ることができました。
一方で、外科のスポットや定期非常勤の求人がほとんどない現状も知ることができました。
転職活動は早めに取り組んでおくのがオススメですね!具体的には退局の1年前くらいからでしょうか。
退局がよぎった時点で転職サイトに登録して求人を探し始めていいと思います!
スポットバイトで仲介を使っていると、少しだけハードルが下がるかもしれませんね!
転職前に専門医や資格を取得した方がいいとおもいますか?
フリーになって、外科専門医を取ったメリット大きくは感じませんが、手術症例が不要で維持できる外科認定医に移行できるため、何もないよりはいいかもしれません。
私は消化器外科専門医は手術症例の維持できないので受験しませんでした。
消化器病専門医は学会参加をしていなかったため、取れませんでしたが、あっていいと思います!
資格はあってデメリットはないですが、フリーでも継続できる資格の方が長い目でみると良さそうですね。
退局後はどんな仕事をしていますか?
現在は週3回の定期非常勤+スポットバイト1日の生活をしています。週休3日です。
2日間は内科外来、1日は訪問診療をしています。バイトはワクチンや当直などです。
退局後、生活がどう変化しましたか?
家族全員で夕飯や就寝ができること、当たり前の幸せを取り戻した!という感覚です。
医学の勉強はもちろんですが、その他に読書、医学以外の勉強、健康などに時間をかけられる余裕が生まれました。
転職して良かったことは?
繰り返しになりますが、家族孝行が十分にできることですね。
子育てを一時期ほぼワンオペでやってくれた妻や寂しい思いをさせた子どもたちとの時間を十分にとっています。
家族の時間大事ですよね!
働き方で工夫されていることは?
土日は子供との時間として確保して、月曜日は休みにして大人の休日にしています。
大人の休日は夫婦でゆっくり買い物や記念日のお祝いができるので、QOL爆上がりします!
また、子供が親の手を離れたら、夫婦で朝活やスポーツサークルや習い事ができたらと考えています。
フリーランス医になって後悔していることはありますか?
全体的に大変満足していますが、外科医としての働き先はもう少し探してからでもよかったかもしれません。
外科医としての求人がないので、結果的に内科や訪問診療の定期を選んでいるのが実態です。
紹介してくれる話もあったのですが、医局との関連が強い病院だったので外科医として手術をする道は諦めました。
外科を辞め、メスを置く決断をできたのはなぜですか?
フリーランスという立場では手術に伴う責任をまっとうできない、というのが最大の理由です。
外科の仕事は自分に合っていましたが、患者さんの利益を考えると、外科に全身全霊をかけている医師が手術を担当すべきだなと感じました。
外科系診療科の主治医制からチーム制への移行は全体としては進んでいるんでしょうけど、何かあった時に「どうして主治医が来てくれないのか」と言う患者さんは絶対にいるんですよね。。。
外科医から内科医への転向は大変そうですが、実際どうですか?
外科医から内科医への転向は領域が違うので、慣れるまで少し苦労はあります。
内科も勉強も楽しんでできてはいるものの、内科医の友人に相談やアドバイスをもらって具体的な退局後のイメージを作っておいた方がいいかもしれませんね。
具体的な勉強法は?
基礎ができてないと思ったので国試対策のmedu4で苦手分野をまとめ直しました。
あとは内科学会の登録、「up to date」の登録をしました。
薬の出し方に迷うので「今日の臨床サポート」は外来でよく活用しています。
今後の展望を教えてください!
医師としての勤務形態を変える予定はありません。
できた時間で自分の法人をもっと大きくしていきたいと思っています。
自分の法人から妻へ生活費分くらいの給与を出せるようになって、専業主婦の妻を経済的に自立させるのが当面の目標です!
あとはプログラミングもやってみたいと思っています。思い切ってスクールにもいってみたいなと!
これまで簿記、FPと医師以外の資格もとってきたDr.さいとー先生。今度はプログラミングまで!アグレッシブですね!
転職を考えてる先生方へのメッセージ!
「フリーランス医、案外いいですよ!」と伝えたいです。
勤務医や医局の働き方・考え方が自分の価値観に合っているなら続けた方がいいですが、もし私と同じように、仕事のウェイトを少し減らして家族やその他の時間を作りたいと思っているならオススメの働き方です!
誰かが敷いたレールを外れてフリーランス医になった今、大げさに聞こえますが「新たな人生が始まった感覚」を体感しています。
自分にとって始めての経験も増えますし、社会的な認知もまだ追いついていない側面はもちろんありますが、それも楽しんでしまえばいいんです!
自分の第2の人生スタートさせてみませんか?
Dr.さいとー先生、インタビューへのご協力ありがとうございました!
おわりに
消化器内科のDr.さいとー先生(@DrSaitohobbytoH)のインタビューでした。
- 企業をきっかけに転職を決意
- 1月に辞意を伝え3月に退職
- スポットバイトでも利用していた転職エージェントを活用
- 現在は週3回の定期非常勤+スポットバイト1日。週休3日
- QOLが爆上がり
参考になった方も多いのではないでしょうか。
Dr.さいとー先生のオススメ転職エージェントは?
Dr.さいとー先生が利用された転職エージェントをおしえていただきました!
M3キャリア
Dr.さいとー先生ありがとうございました!
Dr.さいとー先生は Twitter・ブログ・絵本作家としても活動中。個別株や不動産投資についても発信しています。ぜひチェックしてみてください。
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