医師として働き始めてみて数年。医師としての経験を積んだり、プライベートの変化に伴って、働き方を変えたいと考えるのは当然のことだと思います。
いまいる医局を辞めたいけど、仕事はなにか続けたい。
ほかの医師はどんな選択肢とくらべて転職を選んだのかな?
などの疑問のヒントになれば幸いです。
あくまで私の場合の選択肢です。正解はないので考えを広げるキッカケに使っていただければと思います。
ちなみに私は、転職前は医局に属した外科系専門医で、急性期病院で働いていました。
① 大学院進学、留学など
「臨床に疲れてしまっただけで、少し休めばまたバリバリ働きたくなる可能性もあるな」
そう考えていた時に浮かんだ選択肢です。
大学院進学または留学で数年間研究し、少しのあいだ臨床から離れるという道です。医局にずっと残る選択肢は自分の中で無いな、と思ってからはこの選択肢は無くなりました。正直に言うと、転職で学位はあまり重視されません。
② 他科転科
麻酔科、放射線科、病理部などの入院主治医にならない科に転科するということも一時期考えました。
ですが、再び新しい科で専門医を取るまでかかる時間を考えると私にとっては厳しかったです。
③急性期病院
医局を辞めて、一般市中の急性期病院に勤める選択肢です。
当科募集は郊外に出れば多数ありました。郊外に出れば給料も良い施設が多いです。
都市部では募集が常にあるわけではありませんが、タイミング次第ではあります。
月1-2回の救急当直はマストの施設も多いですが、中にはライフワークバランス、育児に非常に理解があったり、当直が無かったりする施設もあります。
まずは選択肢を知ることが大事なので、転職サイトで検索をしたり、転職エージェントに相談してみるのが良いでしょう。
④ケアミックス、療養型施設
主に慢性期に関わる施設です。外来+病棟の仕事をしていくことになります。
外来だけでなく、病棟管理があると仕事の多様性があり、やりがいにつながるかもしれません。
救急が無いので、急性期病院と比べるとライフワークバランスは格段によくなります。給料は急性期病院より良い施設も多いです。
⑤クリニック
病床を持たないクリニックも求人を出しています。「週3-4から」と勤務条件が柔軟で、給料・福利厚生がしっかりしているところが多い印象です。
往診をやっているところもあります。外来+往診だと仕事の多様性がありますね。
将来的に開業を考えている場合など、ノウハウを得るために良いかもしれません。
⑥美容系、AGAなど
圧倒的に給料が良いのが美容になります。美容の難点としては、SNSをやらなければならない、土日祝日に働かなければならない、などでしょうか。訴訟・トラブルは意外と多くないようです。
最近は、美容も人員が飽和していて稼ぎの格差が出始めているらしいです。コメディカルも含め、短期で辞めていく人が多い、とても流動的な転職市場です。
「美容に行ったら必ず楽して稼げる」という甘い気持ちで入る業界ではなさそうですね。
⑦ フリーランス
定期非常勤を週3-5(,6)回する、という医師もいます。
これに加えて空いている日にスポットバイトを適宜入れたりもでき、非常に自由度の高い働き方になります。毎日、違うことをしていたら飽きにくいかもしれません。
スポットバイトが充実している科ならプライベートと稼ぎのバランスを調整しやすいですね
⑧ 開業
王道のキャリアですね。ここ最近のコロナ禍で開業する医師も多いようです。
開業をするということは事業者になることになります。もちろんコンサルティングに任せられる分野もありますが、マーケティング、人事管理、そして経営能力が求められます。今まで医療のみしていれば給料がもらえていましたが、それ以外に時間が割かれることが多くなります。
フルローンでも開業できるため、若くして開業することも増えていると聞きますが、集患できず閉院するリスクも考えると、ある程度の資産を持ててから開業したほうが個人的には良いと考えます。
最近ではM&Aも流行っています。後継者がいない医院を引き継ぐことにより開業資金を抑えることができますし、初めから患者さんがいるため当初から収益をあげられるかもしれません。
⑨ 製薬会社などのメディカルドクター
企業内医師のことですね。おもに製薬会社に勤務する医師のことで、薬の研究開発や新薬の安全性や有効性を検証する仕事です。臨床実験の結果を医学的な観点でレポーティングしたり、発売後も薬関連の論文の情報収集をするなどします。
私が目にした募集内容だと、臨床経験15年以上と、ある程度の年次が求められたり、高給な場合、英語プレゼンテーション能力必須だったりと、なかなかハードルが高いです。給料が高くて地位もありそうですが、それ相応の能力や転職してからの努力が求められる印象です。
臨床よりも研究が肌に合っている、企業内で働いてみたいという方は検討してみてもよいかもしれません。
⑩ 他(ベンチャー、産業医など)
医療系ベンチャー企業に就職する医師もときおり耳にします。給料の安定性というのは難しいかもしれませんが、やりたい分野が明確にある方には非常にやりがいがあるのかもしれません。
他には医系技官や産業医などがあるでしょうか。
おわりに
広く選択肢を持ち、「これおもしろそう!」という働き方が見つかれば、良い転職につながると思います。逆に、いろいろ検討した結果、現職がやはりベスト!という結論に至っても良いと思います。
専門医を持っていて30代から40前半で医局を辞めて転職する時は、非常に市場価値は高いです。逆に高齢になると就職先候補は減りますし、転職を頻繁にすると印象がどんどん悪くなっていきます。
(明確な資格・技術を得られれば別ですが、)医療系以外の転職と同様に、転職理由が納得できるものでないと転職するほど不利になります。「どうしても○○は合わなかった」は1回まで(1回でも印象が悪いかもしれません)になるようにしたほうがよいです。
最終的に開業し個人事業主になるのであれば関係ないですが、隠居するまで雇われでいるのであれば、無理なく継続的に続けられるという観点で転職先を探すのが良いと思います。
選択肢をひろげるためには、転職エージェントを活用するのもひとつの手です。転職自体を迷っている人でも利用できます。
- 自分の科、年齢ではどんな求人がでてるのかな?年収は?
- 医局にいるのが嫌だけど、ほかにどんな選択肢があるの?
- いつか開業する予定なんだけど、数年だけクリニックで働くってあり?
など、人によって転職の悩みはさまざま。そのいろいろな悩みに寄り添ってくれますよ。
はじめての転職でオススメなのは「民間医局」です。担当者との相性があるので2〜3社は登録してみて、自分にあうところを探すとよいですよ。
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